新しいカーペットを敷き込んだ時、それを出来る限り新しいまま長期間保たせたいと思うのは当然のこと。しかし、シミやパイル糸の破損、ヘタリ、色落ち、汚れ、たばこの焦げ跡などコントラクト用カーペットの美観度を損なう原因は多様。美観度を保つには以下のことが大切になってくる。
1、カーペットの選定はできるだけ品質の良い物を選ぶ。
2、それが正しく敷き込まれているのを確かめる。
3、可能な限り、汚れを防ぐ工夫をする。
4、定期的に適切なクリーニングプログラムを設け、カーペットのメンテナンスを行う。
予防メンテナンス
カーペットの美観を保護するには、入口の外側にマットや靴拭きを用意し、小砂利や水分が建物内に運び込まれるのを防ぐ。また、入口の内側などにラグ、マットを置き、カーペットの変色の原因となる土埃を除去する。
メンテナンス・プログラム
クリーニングの頻度はカーペットの汚れに比例する。カーペットに蓄積されるゴミの量が増加するのに比例して、より強力なメンテナンス・プログラムが必要となる。
例えば、ホテルや公共機関の建物、商業ビルなどの出入り口では、毎日の掃除機がけと周期的なウエットクリーニングを必要とする。美観維持のポイントを以下にあげる。
a、掃除機による日常メンテナンス
b、業務用スペースでは、日常メンテナンスとあわせ、定期的なメンテナンスも。
c、汚れが付着した場合は、即座に汚れが広がらないように注意して拭き取る。時間の経過とともに除去しにくくなる。
d、パイルがほつれた場合、ほつれの伝染を防ぐためにすぐにハサミでカットする。
e、結露水はパイルを変色させたりカビを発生させる原因となる。換気などの工夫が必要。
f、直射日光による変退色を防ぐため、カーテンなどで日除けする。
g、洗剤はカーペット用の中性洗剤を。塩素系洗剤を使うとパイルが変退色することがある。
h、防虫剤、殺虫剤、消毒剤を直接カーペットに散布すると変退色することがある。
<美観度の問題>
汚れの問題の他にも、カーペットの美観は煙草の焦げ跡、家具の跡、また水をこぼしても損なわれることがある。
焦げ跡
織じゅうたんに圧倒的に使われているウールは、自己消火性があるので、燃え広がることはない。煙草の火がウールカーペットに落ちて焦げ跡をつくっても、その部分をブラシでこすれば容易にとれる。
家具の押し跡
弾力性のあるウールカーペットなら、家具の跡などもすぐに元に戻る。
水のシミ
水がこぼれ、それを放置しておくと、どんな繊維のカーペットでもシミができる。とにかく即座に吸い取ることが大切。もしシミになったらウエットクリーニングをすること。
構造の特質
遊び毛、足跡、パイルの飛び出しなどの問題は、品質の優劣に関係なく、カーペットの寿命を縮めるものではない。
遊び毛
カーペットが新しいときは、製造工程中にパイルの中に残された繊維屑が表面にあらわれ、遊び毛となる。これはパイルを構成している繊維のごくわずかな部分で、掃除機をかければ除去できる。
足跡
カットパイルカーペットの表面に残された足跡は、一時的なもので、掃除機をかけると消える。
くも
カットパイルカーペットの場合、カーペットに織り込まれた糸が倒れたり、反転したりするためにできるシェーディング(日陰、明暗の意)をくもという。これは芝生で言う順目と逆目の関係で、おおむね使用後二~八週間で起こり始める。この現象は歳月の経過とともに広がる場合もあるが、カーペットの物性及び耐久性に何ら影響を与えない。
糸の飛び出し
パイルの表面から一本だけ糸が突き出るものをスプラウティングといい、ハサミなどで切り揃える。その際、糸を引っ張ってはいけない。引っ張るとほつれてカーペットに穴があいてしまう。
日本カーペット工業組合発行の「いまこそ織じゅうたん More Woven Carpets」より一部抜粋・編集