(組合会報「JCMニュース3月号」より)
ダニアレルギー対策の誤った情報として「カーペットを取り除くこと」がマスコミで紹介されるのは、アレルギー学会が発行する喘息治療・管理ガイドラインにその一文が書かれているのが大きな理由の一つだ。
この根本を断たない限り、カーペットは悪者にされ続ける。ただ、相手は医学界だけに相当ハードルは高く、組合としてもアクションを起こせていないのが現状だ。
CRI、NIHに提言
そうした中、希望を持てる動きが米国で起きている。米国のカーペット専門誌(電子版)によると、昨年12月、米国国立衛生研究所(NIH)が喘息とアレルギーの治療法に関する連邦政府の新しいガイドラインを発表した。更新された治療法では、「カーペットを取り除くこと」を求めていないという。
つまり、これまではアレルギー対策としてカーペットを取り除くことを推奨していたが、そうした表現が新ガイドラインからは消えたということだろう。
この大きな転換を引き出したのは米国のカーペット団体、The Carpet & Rug Institute(CRI)による研究成果である。
同記事によれば、CRIは、専門的な研究グループを2013年につくり、実験などを通して各種データを収集。定期的なクリーニングをしたカーペットは、室内空気環境の質を向上できるという研究結果を導き出し、NIHに提出した。
日本でも行動を
当組合も苦労の末に「カーペットでのハウスダスト舞い上がり量は、フローリングに比べて十分の一」という研究成果を発表しているが、十分に生かし切れていない部分もあるのではないか。米国での成功例にならい、アレルギー学会などに粘り強く提示したり、医療関係者との接触を増やしたりすれば、カーペットが悪者にされる根本を断てる可能性もある。やってみる価値はあると思うが、いかがだろうか。